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Archive for the ‘畑’ Category

小麦、台風、田んぼ、もろもろ

水曜日, 7月 20th, 2011

このところの日照り続き、水不足で夏野菜の調子がものすごっく悪い日が続いていました。
うちは作業(定植とか)が遅れまくっていたから、夏野菜の不調を水不足だけのせいにするのはちと気が引けるのですが、師匠の農場ですら、これだけ夏野菜に悪戦する年は初めてかも・・・って仰ってますから、水不足侮るべからずです。

そんな中で今回の台風到来は、まさに待ちに待った恵みの雨。
台風被害はいらないけど、雨は欲しい。
強風は吹き荒れてほしくないけど、雨は欲しい。

人間って強欲です。

できれば、太平洋沖を掠めるように進んで、被害少なく、でも雨はそこそこしっかり降って欲しい。

なんて思っていたら、けっこうそれに近い動きをしているようです。

たとえ恵みの雨でも、台風到来は身構えます。
今回はしかも、「台風までに何がなんでも小麦を刈り取らなきゃ!」というミッションがありました。

頼みの綱の中古ハーベスタは中がすっかりぼろぼろで全く動かないことが判明。
ピンチヒッターのバインダーは、ものすごくご機嫌斜めで、たそりあ夫がなだめすかし、やっと動かすことができました。
台風予想を片目でにらみながら、バインダーで小麦を刈り、刈った小麦をコンバインにかけて脱穀します。
(すみません、たそりあ妻は、ハーベスタとバインダーとコンバインの役割分担の違いを完全に理解してません)

と、書くとものすごく簡単なように聞こえますが、

バインダーで刈る前に、小麦のまわりの背の高い雑草や、からみついている蔓性の草を除去しなきゃいけません。
バインダーで刈れない端っこの小麦や、刈り残した小麦は、手刈りして、束を紐でゆわえます。
小麦畑とコンバインのある師匠の農場は当然離れていますから、軽トラで何往復もして小麦を運びます。コンバインにかけた後の麦わらは再び軽トラで何往復もして畑に戻します。

最後の軽トラに積んだ小麦をコンバインにかける頃には、台風のさきがけの雨がぱらぱらと降り出し始めた頃。
なんとか雨が本格的になる前に終えることができました。危機一髪。

今回収穫したのはスペルト小麦・エンマー小麦と呼ばれる古代小麦。
現在世界中で栽培されている小麦のご先祖さまです。
殻が硬くて脱穀しにくい、エンマーなどはひょろひょろと育って倒伏しやすい、歩留まりが悪い・・・などおよそ現代的ニーズからは程遠い品種なんです。
なんですが・・・美味しいんです。
少なくともスペルトで昔作ったパンはとっても美味しかった。
また、スペルト小麦は、小麦アレルギーの人でもアレルギーを起こしにくいのだそうです。
美味しい、アレルギーが起きにくい、そして栄養的な面でも注目を集めているらしい古代小麦です。

これでパンを焼いてみたいのですが、脱穀(コンバインでは完全に脱粒が終ってない)を完成させて、熟成させて、製粉させる・・・何ヶ月後になることか・・・。

さて、小麦の収穫が終ったからと言って、ほっとしてるわけではありません。

田んぼの草が急を要する状態になっています。

もうじき中干しが始まります。田んぼの水を落とす中干し。イネの根張りを良くし、がっしりした株を育てるのが目的なんだそうです。

でも、中干しが始まると除草ができません。
田んぼの除草は中干しまでにやらなきゃいけないんです。

うちの田んぼはここ数日で雑草が急成長。
いつのまにコナギがこんなにでっかくなったの!?
呆然としながらも小麦の収穫で何もできない日々が続いていました。

田んぼの草刈り以外にも、秋冬もの野菜の種蒔きも急がなきゃいけないものが出てきました。
恵みの雨の水分が畑に残っている間に、やり残していた定植も終らせなきゃいけません。

悲鳴とため息と・・・

ジャガイモの実

水曜日, 6月 15th, 2011

ジャガイモの季節が始まりました。

品種にもよりますが、早いものはもう収穫OKです。
少しずつ掘りあげて出荷しています。
今出荷しているのは、えぐみが無くて皮ごと食べられるワセシロと、「アンデスの栗じゃが」の名前で有名な稀少品種インカのめざめ。
栗のような風味のインカのめざめと、素直で素朴なジャガイモの美味しさがたまらないワセシロ、どちらもお勧めです。

ジャガイモは、早春に種芋を植えます。
芋をいくつかに切ったものを畑に埋めていくのです。そうするとジャガイモの目の部分から発芽して、茎葉を繁らせます。
関東では、梅雨の時期に地上部が暑さで枯れていきますので、その頃がジャガイモの収穫時期にあたります。
(涼しい北海道では、枯れるのが遅いために収穫時期は遅くなります。その分長期間光合成で作った栄養を芋に蓄えることができます)
ジャガイモはだから種芋と全く同じ遺伝子の芋が収穫できます。こういう増え方を栄養生殖というそうです。

ジャガイモは時々花を咲かせます。
ナスの花に似た花が複数寄り添って咲きます。

ところが、ジャガイモの花を見たことはあっても、ジャガイモの実を見たことのある人は少ないと思います。
関東ではジャガイモの実はまずできないようです。
北海道のような涼しいところでは、そこそこジャガイモの実ができるそうです。

というようなことを昔本で読んでいた私は、ある日、たそりあのジャガイモ畑で、ミニトマトのような青い実を見つけてびっくり!

これは・・・これは・・・噂に聞いていたジャガイモの実じゃないかっ!

いやあ、関東でもジャガイモの実がなることがあるんですね。
ちなみに実がなっていたのは北海こがねという品種。調べたら自然結果の多い品種という記述が見つかりました。

ジャガイモの実は普通は食べないようです。
食べるなという記述もあり、黄色くなってきたものは食べ過ぎなければ全然問題なかったという体験談もあり、よく分かりませんが、ジャガイモの目に含まれるソラニンという有毒物質が多少は含まれている可能性があるのでしょう。食べたい方はよく調べて自己責任で・・・ということになりそうです。

ジャガイモの実の可能性は食用というよりは、繁殖(品種改良)でしょう。
栄養生殖じゃなく有性生殖になりますから、親と違った遺伝子を持っています。
ジャガイモの種を蒔いたら、親と違った芋ができてくるわけです。
このホッカイコガネの実が熟したら、中に種が入っていたら、それを蒔いてみたら・・・
ほんとにジャガイモができるんでしょうか?
どんなジャガイモができるんでしょうか?

ちょっとわくわくするような想像です。

助っ人、現る

水曜日, 5月 4th, 2011

GW
ごおるでんうぃいく

農家には縁の無いフレーズです。
いえ、縁はあるんですが、巷の人たちとは縁のあり方が違うんです。

GW、どこへ行こうか?

じゃなくって、

GW、作業が目白押し!

なんです。

関東ではGWというのは、遅霜の危険がなくなる時期。
遅霜の危険がなくなれば、夏野菜の定植がどんどんできます。
遅霜の危険がない=それなりに十分暖かい気候→雑草が繁茂、すなわち草刈りに時間をとられるようになります。
またこの頃は、田んぼの準備もどんどん進めていかなきゃいけない時期でもあります。

そんなこんなでGWは畑仕事もフル回転。

(もちろんGWは直売所の売上が減っちゃうとか、通勤ラッシュが無いから道路が朝夕空いてて、畑間の移動が楽だとか、そういうGWの存在感というのはあります)

そんな中、友人Aが「あのお、草刈りやりたいんだけど。。。」

いやもう、願ったりかなったり、両手をもみもみして、是非是非おいでくださいませ。

畑仕事も鎌を持つのも初体験の友人A、朝から夕方までもくもくと草を刈ってくれました。
おかげさまで懸念のアスパラガスエリアもハーブエリアもきれいに草刈りが進みました。
そしてなんといっても大きかったのが、ネギの除草。
(ネギの除草ってすっごく重要ですっごく大変なんです。除草剤使わないと労力が大変な作物の代表がネギとニンジンじゃないかしら)
もう「これ以上除草を遅らせられない!」っていうくらい、怠慢こいていたネギ苗エリア、おかげさまで半分以上除草ができました(残りは次の日になんとか9割方終えました)。

ありがとうございます!

ほんとにほんとに助かりました!

「草刈り、やりたい!」っていう殊勝な方が他にもおられましたら、たそりあはいつでも大歓迎です。
鎌と手袋用意してお待ちしております。

雑草、雑草、雑草・・・

日曜日, 4月 24th, 2011

すっかり陽気もよくなってきて、雨なんかも降っちゃたりして、既に畑にある作物は発芽したり、成長に勢いがついてきたりとしていますが、もちろんのこと、作物だけが勢いを増しているわけじゃありません。

作物と同様、時には作物以上に勢いづいてるのが、いわゆる雑草です。

いきなり存在感を増した畝間の雑草、株間の雑草、畑のふちの雑草には、くらくらとめまいがするほど。

ああ・・・。
これを全部刈らなきゃいけないのか・・・。

刈払い機は一応ありますが、畝間、株間のちまちましたところは、刈払い機では無理です。
手刈りでしこしこと刈っていたら、何時間いや何十時間かかることか・・・。
なんとか省力化をはからないとやってけない、と、刈払い機のアタッチメントなんか調べたりしています。

除草剤まきたくなる気持ちが分かるねえ、と時々たそりあ夫とぼやいたりなんかして。

高齢化して跡継ぎのいない農家なんかでは、除草剤無しにはもう農業は無理・・・なんてところも多いんだと思います。

無農薬は安心だけど労力がかかる、農薬は心配だけど便利だ

なんて図式を思い描いていると、このご時世、

脱原発は安心だけど節電しなきゃいけないかも、原発は心配だけど便利だ

というのが並行して連想されてきます。

現代人って心理的にすごくやっかいなものを抱えて生きているのね、なんてため息が出ちゃったりなんかもしますが(もちろん師匠の農場のため息禁止令にひっかからないようにこっそりと)、その間にも畑の雑草は勢いを増すばかり。

もちろん除草剤は使わない。
でも、根性だけで草刈をなんとかしようというのは、根本的解決につながらない。
答えはどこにあるのか、うろうろとする就農1年生です(そろそろ2年生か?)。

二月はとう立ちを夢見る月

日曜日, 2月 20th, 2011

二月も半分以上が過ぎました。
端境期の不安がひしひしと押し寄せてきます。

冬は根菜の季節と言いますが、その根菜の殆どが三月になるのを待たずに、殆ど出せなくなります。
冬の間に養分を地下に蓄えて、じっと耐え忍んできた作物は、春になるといっせいに子孫繁殖の活動を始めます。
とう立ちし、花を咲かせ、実をつけ、種を充実させます。
そして、子孫繁栄のために、それまで堅実に蓄えてきた地下の養分を惜しむことなく使うのです。

緻密で、甘くて、旨みがあった根菜たちは、養分がどんどんと地上に吸い取られ、食感も味も変わってきます。
肉質は緻密だったものがすかすかになります。
ジューシーだったものが、乾いたようになってきます。
甘かったものも、甘くなくなります。
旨みも減ってきます。

作物の種類や品種によって、味の変わり方、食感の変わり方、変わる時期はまちまちですが、畑でとう立ちを気にしながら、毎日を過ごしていると、二月というのは、たとえとう立ちが目にはっきりと見えていなくても、植物は体の中で準備を始めている月なんだな・・・ということが否応なく分かります。
とう立ちはしていなくても、葉っぱの雰囲気が変わってきます。
新しい葉っぱが出てきます。
ロゼット状に寝そべっていたものが、垂直になろうとする気配がします。
地上に露出している地下部の肌の輝きが減ってきます。
どれもこれもがとう立ちを夢見て、ひそかにうごめいているんです。

美味しい野菜を作りたい、美味しい野菜を食べてもらいたい、という気持ちがあります。
その気持ちからすると、とう立ちの準備を始めて、味や食感の落ちてきた野菜は消費者に提供するべきじゃないんじゃないか・・・と揺れます。
でも、人間は限りある自然の中から、その時その時食べられるものを都合してきたので、いつでも最高に美味しいものを食べたいがために、ハウスで環境を調整したり、よそから運び込んだりするのは、人間の大きなエゴの一つなんだろうなという気持ちもあります。
その気持ちからすると、自然から食べ物を享受する側としての謙虚さをもうちょっと考えた方がいいんじゃないかな、自然から食べ物をもらうということを、こういう味や食感の変化も含めて、消費者にも知ってもらった方がいいんじゃないかな・・・と揺れます。

この揺れ動きの中で、このニンジンをまだ売ろうか、でも味がかなり落ちてきたからもう売るのをやめようか、すごく悩むんです。

二月は野菜がとう立ちを夢見る月。
二月は農家がジレンマに悩む月。

雪の重み 風の強さ

日曜日, 2月 20th, 2011

今年の冬は雪も降らない、雨も降らない、畑に潤いが欲しいよ~と思っていたら、冬型が緩んで先日雪が降りました。
天気予報ではほとんど想定していなかった雪に、野菜のこさえで遅くなったたそりあ夫は難渋したそうです。明けた翌日は、一面の・・・というには少々語弊があるものの、見渡す屋根々々は真っ白、路肩にも、走行中の車の屋根にも雪、雪、雪です。

積雪で怖いのは、ハウスの倒壊だそうです。
ビニール屋根に積もった雪の重みが屋根の直管パイプをひしゃげて押しつぶしてしまうと、せっかくのハウスも一夜にして使い物にならなくなります。
幸いそこまでの積雪ではなく、ハウスは無事。

胸をなでおろしてほっとしたのも束の間。
無事だろうかと見廻った畑の一つが、けっこう悲惨なことになってました。

ビニールトンネルの倒壊(?)

細い支柱をアーチに畝に並べて、その上にビニールをかけただけのシンプルなトンネルですが、それが雪の重みでつぶされていました。
アーチの支柱はなぎたおされるように、地面に這いつくばり、雪の重みに抗して立ち上がる力を持ちません。

幸い、ビニールの上に積もった雪をはらえば、枷をはずされたウサギのように、自力でアーチが復活します。
でも、復活しないところも数箇所。

そういうところでは、アーチの支柱が折れて、ビニールをつきやぶっているんです。
こういうところは支柱を取り替えて、修復する必要あり。

ついつい資材費をけちって、一番安いものを買ったのを後悔するのは、こういう時です。
なんで少々高いお金を出しても、もうちょっと太いがっしりとした支柱を使うか、身にしみて分かるのが、こういう時です。
就農一年生のお勉強です。

雪が積もった数日後、今度は土砂降りとともに強風が吹き荒れました。

今度は別の畑のビニールトンネルのビニールがはがされ、めくられました。
こちらは土砂降りで大量の水分を含んだ畑の土が液状化(?)したせいで、ビニールの端をおおっていた土盛りが緩んだせいじゃないかな、とたそりあ夫は考えているようです。
借りた畑がどういう性質を持つ畑か、身にしみて分かるのが、こういう時です。
就農一年生のお勉強は尽きることがありません。

ちなみに雪国では、ハウスの積雪対策として、冬の間はビニールをはがしておくのだそうです。
場合によっては、冬が来る前にハウスを解体し、春が来るとまたハウスを組み立てるということを毎年やったりもするのだそうです。

風邪と怪我と病院通い

日曜日, 2月 6th, 2011

に明け暮れた数日でした。

どれもたいしたことはないんだけど、重なるとやれやれです。

喉が腫れ始めた風邪も、うがいとマスクでなんとかおさえこみ、晩御飯の支度の最中に切った指の怪我は、絆創膏でテキトーに処置するか、病院に行くか悩んだ末、結局夜の救急外来で処置してもらい、それに歯医者通いが加わって、落ち着いて畑仕事にも専念できません。

おまけにたそりあ夫はお腹の調子を崩すし、花粉症のいや~な前兆が現れかけているようで、こちらもすっきりとしません。

畑は急速に春に向かって準備を始めています。

梅の花も咲いているし、沈丁花の蕾も大きくなっています。
ぺんぺん草も咲いているし、オオイヌノフグリの青い花もきれいです。
だのに、カブや大根やニンジンだけがいつまでも冬仕様でいられるわきゃぁありません。
一見、今までと何にも違わなさそうで、でも陰ではこっそりと春に向かって準備を始めているに違いありません。
油断をしていると、ある日いきなり大根の中心部にとう(花芽)を見つけたりしちゃたりして、ぎゃお~と叫ぶんです。
この時ばかりは、春が恨めしくなったりするんです。

野菜、特に根菜は冬の間に根っこにでんぷんだの糖分だのを蓄えて、じっと寒さをしのぎます。
ところが春になったら、この貯蓄家たちは、いきなり浪費家に変身します。
せっかく(?)蓄えたでんぷんだの糖分を、花を咲かして、種を作るために、せっせと使い始めるんです。
そうです、野菜たちは人間に美味しい根っこを供給するために、でんぷんや糖分を蓄えてるわけじゃないんです。自分たちの子孫を残すために養分を蓄えているんです。

とうが立ち始めると、だから根菜は一気に味が変化します。
もちろん好ましからぬ変化です。
先週まで甘かったカブが今週は甘くない。
先週まで緻密だったのに、今週はすかすか。
なんてことになります。
経験値不足の新米農家にとっては、出荷の計画がむちゃくちゃ狂いかねない時期でもあります。

風邪も怪我も体調の狂いも、自然界の見えない急ぎ足の変化に呼応したせいかもしれない・・・
なんてことはないのかもしれませんが、
春に向かう野菜たちの陰の変化が気になるこのごろです。

落ち葉を集める日々

木曜日, 12月 30th, 2010

今年もおしせまってきました。
鵠沼の直売所も25日、クリスマスに最後の直売を終えました。
最後の野菜の出荷も28日に終りました。

後は、心やすらかに新年を迎えるだけ・・・

なわけないじゃん。

出荷はなくても、年末年始でも、やっぱり忙しいです。
ここ数日は落ち葉集めに走り回っています。

落ち葉はとっても大切です。
年が明けてからの苗作り、レタス、トマト、ナス、ピーマン、キュウリ、ズッキーニ、えとせとら。
これらの苗作りに実は大量の落ち葉が必要なんです。

トマトやナスなどの苗は普通ゴールデンウィークが終ってから畑に定植しますが、その頃までに定植できる苗を育てようと思ったら、2月とかに種蒔きしなきゃいけないんです。
2月、厳寒期。
中南米原産のトマトやインド原産のナスが、2月に種を蒔いてそのままでは育つわけがありません。
なんらかの形で保温してやらないと、発芽もしなければ、育ちもしません。
保温するためにはエネルギーが必要。
電気か、ガスか、太陽か、風力か・・・?
いえいえ、そのどれでもありません。
有機農家が苗作りによく利用するエネルギーは、発酵エネルギーなんです。
微生物にモノを分解させて、その時に生じる熱を育苗に利用しましょう・・・っていうのが、いわゆる踏み込み温床と呼ばれているものです。

枠を作って、その中に落ち葉と糠と水とを層にして積み上げ、ぎゅうぎゅうと踏みつけて圧縮したものです。
踏み込んでしばらくすると、落ち葉に付着しているたくさんの微生物が、糠を即効のエサにして、活動を始めます。
この時に発生する熱エネルギーで、温床はけっこうな温度になるのです。
下手すると、これではトマトの育苗には暑過ぎるよ、っていうくらい上がることもあります。
暑すぎず、寒すぎず、持続性がある・・・っていうのが、理想的なんですが、理想への道のりは遠いです。

まずは、落ち葉集め。

ほんとはもっと早く集めておけばよかったんですが、忙しくて忙しくて、落ち葉まで手が回らない日々が続いていました。
直売・出荷が途切れて、やっと落ち葉を拾いにいける・・・。
拾うっていったって、軽トラ何杯分か必要なので、けっこう大変です。
でも、今集めないと、落ち葉はどんどん減っていってしまう。
拾う先は、公園、霊園、お寺、神社などなど。
どこの公園にいい落ち葉がいっぱいあるか、どこなら軽トラを落ち葉の近くまで持っていきやすいか、仲間と情報交換しながら、あちこち回ります。

ちなみに育苗を終えた落ち葉は堆肥化され、翌々年の育苗用土になります。

電気もガスも使わず、最後は土になるまで利用する。
考えてみたら、とってもエコですね。
でもエコっていうのは、時に労力をともなうものなんです。
熊手とブルーシートでの落ち葉集め、糠と交互に入れて踏み込む作業、どちらもかなりの重労働です。

さて、今年が終るまでどれだけ集められるか?

12月の大雨

日曜日, 12月 5th, 2010

12月になりました。
11月下旬、やらなきゃいけないこと山積み状態でしたが、いまだに全部終わっていません。

小麦、エンドウ、ソラマメの種蒔き、タマネギの定植はだいたい終りましたが、サツマイモ、落花生の収穫はまだ全部終っていません。秋ジャガも掘らなきゃいけません。

しかも、小麦、エンドウ、ソラマメの種蒔き直後、タマネギの定植直後、とんでもないことが起こりました。

そう、金曜日の集中豪雨(?)です。
あちこちで被害があったようですが、藤沢でもそこここでとんでもないことになっていました。台風でもないのに・・・。

いつも通っている道が川になっていて通れなくって、軽トラをバックさせてUターンさせたり。
ECOMOに野菜を届けに行く途中で、ふっと横を見ると、親水公園のグラウンドが浸水して、完全に池になっていたり(水深何十センチかありそうでした・・・)。
師匠の農園の研修生によると、朝来る途中、目久尻川が二本になっていたそうです。

ハウスのある小さな畑は、真ん中の通路を濁流が流れ、
田んぼは当然のことながら、くろも分からぬ一面の海。
用水は氾濫寸前か、氾濫真っ最中か、どちらか。

雨がおさまり、出荷を終えてから、各畑を見回ってみました。
小麦、エンドウ、ソラマメを蒔いたところは、かなり土石流が流れたところが多く、蒔いた種がどうなったか分かりません。
定植したばかりのタマネギの苗も一部流されていました。
すでに育った作物も完全に水没したものも多く、泥まみれになっています。

こういうことがあると、雨に弱い畑がどこだかがよく分かります。
元植木畑だったところは、植木を引っこ抜いた後、地盤が低くなっています。
田んぼを埋め立てて畑にしたところでは、場所によって冠水しやすいところもあります。

大雨が降っても冠水しにくい畑にしたいのはやまやまですが、一朝一夕にできることでもありません。
なんとかしなきゃと思う気持ちとしょうがないと諦める気持ち。
農業って、この二つの気持ちの間で揺れ動くことが多いようです。
諦めてばっかりいることもできませんが、なんとかしなきゃと焦りすぎても良くないような気がします。
気持ちのバランスをとるのが難しい。

とりあえずは、麦、豆の発芽を待って、発芽してないところに追加蒔きか・・・。

堆肥場に咲いた白い花

水曜日, 9月 29th, 2010

これ、何だと思いますか?

剪定枝堆肥を積んでいる場所に生えた茸です。
名前は分かりませんが、真っ白で、大きくて、堆肥がえぐれて洞窟のようになったところに傘を開いているさまは、とてもきれいでした。

厳しい残暑や水不足や虫害や消えてゆくニンジンや発芽しないキャベツのことを忘れて、自然の美しさになごむ一瞬です。