厳寒期に突入。
神奈川県南部で厳寒期なんて言ったら、もっと寒い地方の人たちに鼻であしらわれそうですが、やっぱり寒い日が続いています。
この時期、収穫は午後に限られます。
午前中に直売や出荷がある時には、前日の午後に収穫します。
厳寒期の朝採り野菜なんて、ありえないんです。
だって、朝は野菜が凍ってるんだもの。
霜でがちがちに凍りついた畑から、大根を引っこ抜こうなんて思ったら、大変です。
凍った大根の葉っぱはちょっと強い力で握っただけでぼろぼろになってしまうだろうし、がちがちの地面から大根だってすんなりと抜かれてくれません。無理して抜いたら、大根だって傷つくだろうし、収穫後の野菜の傷みも早くなります。
というわけで、地上も地面も溶けた午後、収穫作業を行います。
収穫して、泥を落として、洗うものは洗って、新聞紙にくるんで、コンテナにしまって、一晩ハウスで保管します。
翌朝、最後のこさえをして、袋詰めなどの出荷作業を行います。
ところが、ところが、です。
先週の土曜日の朝、前日収穫した野菜の出荷作業をしようとして、愕然としました。
ハウスの中で、コンテナの中で、新聞紙にくるまれた野菜が凍ってるんです!
ハウスの中って、実は寒いんですね。
昼間はあったかいんだけど、夜はあまり外と変わらないくらい寒い。
ボウルに張った水も凍ってるし、ペットボトルに入れた水も凍っています。
(家からペットボトルに水を入れて運び、ハウスでボウルにその水を注いで、野菜を洗うんです。
都会の新規就農者は、普通の農家みたいに庭先で水道や井戸水で洗えるような設備はありません)
新聞紙にくるんで、コンテナに入れるくらいじゃ、保温としては全然足りなかったんですね。
さらに前日洗った水気が残っていたのが、よくありませんでした。
新聞紙ごと凍った野菜。
土曜日は鵠沼の直売。
迫りくる時間を気にしながら、ようやく昇った朝日の当たる場所に野菜を置いたり、師匠の農場におしかけて、焚き火の近くの少し暖かいところで、自然解凍につとめました。
葉物は自然解凍できれば、だいたいオッケーなんです。
地上部にある葉っぱは、毎日凍っては溶け、凍っては溶けを繰り返しているのですから。
でも、大根やカブの根っこの深いところは、土深くぬくぬくと覆われて、今まで一度も凍ったことのない部分です。
凍ることに耐性がありませんから、一度凍ってしまうと、溶けても透明な質感に変わって、元には戻りません。
(大根でもカブでも地上近く、地上から突き出ている部分は毎日凍っているから、おそらく凍っても大丈夫なように糖分が多くなっているのだと思います。大根でも根っこに近い方が辛く、葉っぱに近い方が甘いのは、そういう理由からじゃないでしょうか)
この日の直売は結局一度凍って溶けた野菜を、いつもより安い値段で売りました。
今朝凍っちゃったので、できるだけ早く調理してくださいね、とコメントをつけながら。
その後、
洗ったら水気はよくぬぐう
保温のため、コンテナをさらにござでくるむ
(本当はボロ毛布とかがあればいいんでしょうが、すぐには手に入りそうにありません)
葉物は家に持ち帰って保管する
というふうにしました。
それだって、大寒波が来たら、完全じゃないかもしれないんですが。
一つ一つ失敗をクリアしていくしかないんですね。