野菜の常識をくつがえそう!
月曜日, 9月 27th, 2010奈良の在来種の辛くないししとうで、細長い形がちょっとユニークです。
でも、ししとうの中には時々辛いものが出てくるように、今年のひもとうがらしは辛くなってしまったものが殆ど。
夏の暑さが厳しかったせいか、雨が殆ど降らなかったせいか、虫が多かったせいか・・・。
それでも秋になってようやく殆ど辛くない実がなる株がいくつか出てきたので、そういう株を選んでひもとうがらしを出荷したわけなんです。
直売所でそういう事情をお話しして、ひょっとしたらちょっと辛いかもしれないけど、できるだけ辛くないものを選んできましたので・・・とご説明申し上げたら、思わぬリアクションが・・・。
辛いのも是非売って下さい!
辛いのは、辛いなりにいろいろと料理の使い道があるのだそうです。そしてそのお客さんはむしろ辛みのある方が欲しいとのこと。
言われてみればそうです。
辛いから食べられないわけじゃありません。
しかも人間は昔からわざわざ辛い唐辛子なんかを栽培して料理に利用してきたんです。
唐辛子ほど辛いわけじゃないけど、適度な辛みのあるししとう・・・十分に食材として成立します。
ししとうはこうじゃなきゃいけない。っていう思い込みが知らず知らずの間に染み込んでいたようです。
ししとうだけじゃありません。
いろんな野菜に対して、こうじゃなきゃいけない、こうなったらもうお客さんには出せない、という思い込みがあちこちにあるんです。
キュウリは育ちすぎて太くでっかくなったら出荷できない。
(ところが太くてでっかいキュウリって味が出て美味しいんです。農家さんでは、こういうキュウリを好む人も多いんです)
サヤエンドウやササゲは若採りしたものじゃないといけない。
(ところがエンドウや十六ササゲは少し豆が太ってきたくらいの方が美味しいんです。豆の旨みや莢の甘味が増えるんです)
ニラやフェンネルは葉っぱを出荷するものである。
(フェンネルの花は葉っぱと同じような良い香りがあって、料理やお菓子のアクセントにぴったり。ニラの花もこの間はじめて食べてみましたが、ニラの香りがたっぷりでこれがまた美味しいんです)
オクラはできるだけ若いものがいい。ちょっとでも大きくなってきたら出荷しない。
(確かに硬くなってしまうと食べられませんが、オクラはむしろ大きめの方が味が良くなるようです)
***はこうじゃなきゃいけない、こうなっちゃったらもう出荷できない。
この縛りはいったいどこから出てきたのでしょう。
巷にあふれている野菜の本などにも買う時の選び方なんてのがいろいろ書かれていますが、そういう画一化が進んでしまったからなんでしょうか?
農家でないと、なかなか育ちすぎた野菜や出荷されない部位を食べる機会はありません。
本に***を買う時にはこういうものを選びなさいと書かれていると、比較するすべもないまま、そういうものかと思ってしまうことも多いでしょう。
もう一つ出荷する側からすると、リスクというものがあります。
オクラにせよ、ササゲにせよそうなんですが、ある程度育ったものの方が美味しい、でも一線を越えると硬くなってしまったり、筋張ってしまったりで、いきなり食べられなくなる、その境目が外見から分かりにくい、ということがよくあります。
勢い、安全側にたおして若めのものを出荷。それが根付いた。ということもあるかもしれません。
たそりあは、「たがやして そだてて りょうりして あじわう」というその由来に込めたように、最終的に味わうことを念頭に置いています。そのために、野菜の常識に縛られず、美味しいものを美味しいと思われる時期に収穫して、美味しい食べ方を提案していきたいと思ってきました。
でも、今回のししとうの件では、常識に縛られている自分を再発見。
いろいろな野菜の世界を開いていくためには、いろんな人の味覚やとらえ方ももっともっと参考にしなければと思いました。
直売所は、そういういろんな方の野菜に対するとらえ方を教えてもらえる場所でもあります。
是非みなさんも、こういうふうになったのが美味しい、こういうのも食べてみたい、常識をくつがした見方をいろいろと教えて下さい。